NO.129 リスク認知のバイアス
リスク認知のバイアス:意識せよ、誤解せずに
技術士試験まで残り約2か月です。計画通りに進んでなく、厳しい気持ちに直面している方々にとって、これまでの知識を徹底的にブラッシュアップすることが大切です。
本日は、リスク認知バイアスについてお伝えします。
リスク認知のバイアスとは、私たちがリスクを判断する際に偏った認識や思考の傾向が生じることを指します。これらのバイアスは、情報の処理や判断において影響を及ぼし、リスク評価や意思決定に歪みをもたらす可能性があります。
正常性バイアス: 正常性バイアスは、私たちが日常的に経験する出来事や状況を基準としてリスクを評価しようとする傾向です。つまり、何事も順調に進むことを前提とし、予期しない出来事や異常な状況の発生を過小評価する傾向があります。これにより、重大なリスクを見逃す可能性が生じます。
楽観主義バイアス: 楽観主義バイアスは、私たちがリスクを楽観的に評価し、リスクの発生確率や影響度を過小評価する傾向です。良い結果を期待し、悪い結果を過小化することで、リスクを過度に軽視してしまいます。このバイアスは、冒険心や新たな挑戦への意欲を高める一方で、リスクのリアルな評価を阻害する可能性があります。
カタストロフィーバイアス: カタストロフィーバイアスは、極端なリスクの発生を過大評価する傾向です。私たちは稀な出来事や大規模な災害をより起こりやすいと認識し、リスクを過剰に恐れる傾向があります。このバイアスは、リスク回避を優先する一方で、現実的なリスク評価や効果的な対応策の構築を阻害する可能性があります。
ベテランバイアス: ベテランバイアスは、経験豊富な人々がリスクを過小評価する傾向です。彼らは過去の成功経験に基づいてリスクを評価し、自信を持って判断してしまう傾向があります。彼らは自身の知識やスキルに基づいてリスクを処理し、適切な対応策を見つける自信があるため、新たなリスクや変化した状況に対しても慎重さを欠いてしまうことがあります。しかし、過去の成功は必ずしも将来の成功を保証するものではないため、ベテランであってもリスクの客観的な評価と柔軟性を保持することが重要です。
バージンバイアス: バージンバイアスは、新参者や経験の少ない人々がリスクを過大評価する傾向です。彼らは過去の失敗や他者の経験を基準にし、リスクを恐れる傾向があります。未知の領域や未経験の課題に対して不安や抵抗を感じ、過度に保守的な姿勢を取ることがあります。バージンバイアスを克服するためには、適切な情報収集や他者との意見交換を通じてリスクを客観的に評価し、冷静な判断を下す必要があります。
これらのリスク認知のバイアスは、私たちがリスクを正確に評価し、適切な対応策を取る上で注意が必要です。リスクマネジメントのプロセスでは、これらのバイアスを認識し、客観的な評価を行うための手法やツールを活用することが重要です。また、チーム内での意見交換や専門家のアドバイスを求めることも効果的な方法です。
リスク認知のバイアスに気をつけつつ、自身のリスク管理能力を向上させることは、個人や組織の成功において不可欠な要素です。正確なリスク評価と適切な対応策の選択を通じて、未来の課題やリスクに備えることができるでしょう。
最後に、合格に向けて自己信頼を持ち、周囲のサポートを受けながら、着実に目標に向かって進んでいくことが大切です。限られた時間の中で努力を怠らず、自分自身を信じて合格への道を歩み続けましょう。